遺言書を見つけた時の検認手続のやり方解説
相続発生時に家で遺言書を見つけた場合、その場で開封してはいけません。
相続人が自分で書いた遺言書は、必ず家庭裁判所で「検認」という手続きを受けることになります。
ですので封をしたまま家庭裁判所へ持っていきましょう。
もちろん開けてしまったからといって無効になるわけではないので、空けてしまった場合はそれをその状態のまま裁判所へ持っていくことになります。
普通の人は普段から家庭裁判所に行くことなんてないですから手続きの仕方がいまいち分からないと思います。
遺言書の家庭裁判所での手続きを解説したいと思います。
遺言書の検認のやり方
遺言書の検認は所定の申立書を書き、遺言書とともに家庭裁判所に提出することで行います。
検認を申し立てることができるのは、
- 遺言書の保管者
- 遺言書を発見した相続人
となります。
弁護士や司法書士に代わりに書類を作ってもらい提出することも可能です。
ただし、必ず申し立てた人が家庭裁判所に行かなければなりません。
どこの家庭裁判所に提出するか?
亡くなった方の住所地を管轄する家庭裁判所に提出します。
裁判所には、地方裁判所、簡易裁判所、家庭裁判所という風に色々種類がありますので間違えないようにしてください。
弊所の周辺の藤沢市、茅ヶ崎市、寒川町、鎌倉市では、市内に家庭裁判所の支部がありませんので横浜の関内にある家庭裁判所に提出することになります。
少し遠くて不便ですね。
検認に必要な書類
検認の際には、遺言書と一緒に提出しなければならない以下の書類があります。
- 申立て人、相続人全員の戸籍謄本
- 遺言者の戸籍謄本(出生時から死亡までの全てのもの)
- 遺言書の写し(遺言書を開封してしまったときのみ)
亡くなった方が生まれてから死亡までの戸籍全てを集めなければならないので意外と大変です。
現在の本籍地から戸籍、除籍、改正原戸籍を取得し、その記載から一つ前の本籍地へと次々に役所へ請求していくことになります。
検認申立書に記載する事項
検認申立書には以下のような情報を記載します。
- 申立人の本籍、住所、氏名、申立資格
- 遺言者の本籍、住所、氏名、死亡日
- 遺言書の開封状況
- 遺言書の保管・発見の状況、場所
- 相続人全員の住所、電話、氏名、生年月日、続柄
戸籍の記載から誰が相続人なのかを判断して、住所や連絡先等を聞く必要があります。
遺言書の検認は家庭裁判所に相続人(申立人)の出席が必要
申立書を書いて、添付書類とともに遺言書を提出するだけでは検認は終わりません。
そのあと、家庭裁判所が指定した日に相続人が出席して検認が行われます。
他の相続人には「遺言書検認申立事件」などとちょっとドキッとするような書面が届きます。
出席するよう書いてありますが備考欄に忙しければ欠席しても大丈夫な旨が記載されています。
出席しなかったからといって特に不利になるようなことはありません。
欠席者にも後日遺言書のコピーがついた「検認調書」という通知がくるのでご安心を。
ただし、申立人は絶対に出席してください。
裁判所に呼び出しを受けた日に出席すると裁判官から遺言書についていくつか質問を受けます。
この質問に答えると検認手続きが終了です。
遺言書の検認手続きが面倒そうだと感じたら
家族に検認させるのは面倒そうだと感じた方は、家族に公正証書遺言という公証役場でつくる遺言書を検討してみてください。
こちらの場合は、公証役場で遺言書が保管されているので改ざんの恐れもなくなりますので検認の手続自体が不要になります。
ただし、公証人に内容のチェックをしてもらうため費用が数万円ほどかかります。
1980年生まれ。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了後、研究所研究員、プロギタリストを経て司法書士・行政書士として「司法書士・行政書士事務所 ローライト湘南」を運営。専門は法人設立、融資サポート、営業許可、不動産活用。法令知識と経験で企業の問題解決のコンサルティングを行ってます。
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